00264-041229 雪の日の“写条”
外は雪。しーんと静まりかえった研究室。電話も鳴らない。来客もない。こんな研究室、めずらしい。
いろんな作業をしながら、ふと本質に迫りたくなって「写条」。
ひさしぶり。
「写経」ではなく「写条」。
条文を書き写すのです。
大好きな万年筆で。
学生の頃は新しい法律を学び始めるときに必ず「写条」をしていました。書き写すといろんな発見があります。何度やっても新しい発見をするから不思議。ちょっとずつ自分の頭脳も成長していることを実感できます。憲法、民法、刑法、著作権法なんて、いままで何度も書きました。もちろんその他の法律も。
ひさしぶり、と書いたけど、憲法前文はほんの2週間ほど前にMと一緒に研究室で書いたっけ。暗唱してしまっているので「写」条ではないけれど、書く頻度がもっとも高い条文のひとつが憲法前文です。やっぱり深い。
気づいたときに、気になった条文を写条する。ある条文の解釈をしようとするときは、必ず写条する。書き写しておいてからグリグリ解釈します。どんどん条文が自分のものになる。本当にいろんな発見があるのです。すごく楽しい。万年筆の書き味とインクのノリとを味わいながら、句読点の位置とか改行の位置とか助詞の使われ方とかことばの連なりとか修飾関係とか構文とか……。書くたびにいろんなことを考えます。
今日の写条の万年筆は太ーいクロスポイント。インクはブルー。
写条した条文は憲法の条文4つ。同じ条文を3回写条しました。
そして今日も、新たな気づきを得ました。
あと3日で新年。
書き初めの代わりに気に入った条文を写条してみてはいかが?
(法学部以外の方がお読みになると、かなり奇異に映るかもしれませんが、法律の学生・研究者にとって条文はそのくらい大切なものなのです。「信じられるのは自分と条文」(shio語録)という世界ですから。)